恐怖体験

朝のうちから会社に入って仕事をしていた俺。
仕事は夜になって、ある程度メドがついてきた。(なんとなくだけど…。)
で、22時から23時の間は、一日の作業をまとめようと考えていた。
 

既に社内には俺一人。
他の部署は明かりも消え、俺のいる一角だけが無機質な蛍光灯の明かりに照らされている。
聞こえてくるのは、近くの首都高を走る自動車の音と、時折唸る自販機、それと俺のため息とキーボードを叩く音。
 

…カタカタカタカタ…カタカタカタカタ…
 
 

と、不意に背後で物音がした。
俺は思わず振り返った。
しかし物音はピタっと止み、辺りは相変わらず薄暗いままだ。
 

『気のせいか…』
気を取り直して、仕事を続けた。
 

しかし、次の瞬間『…ガチャガチャ…タンタン…タッ…タッ…』と、微かな物音がしたのだ。
 

『誰かいるのか?』
そう思った俺は席を立ち上がり、会議室を横目に、エレベーターホールまで様子を見に行った。
が、別段変わった様子はない。
『…こんな時間に誰か来るわけはないよな…』
 

23時15分。
そろそろファイルを保存して、帰る準備をしなければならない。
パソコンをシャットダウンし、資料をデスクに片付ける。 飲み干した缶コーヒーをゴミ箱に捨て、コートを着る。
 

と、ここまでは、普段どおりの行動。
しかし、今日は最終退室者なので戸締まりまでしなければならない。
部屋の明かりを消し、入退室者名簿に記入し、鍵を閉め………。
ん? 部屋が明るい。
なぜか会議室のほうが明るいのだ。
今日は会議室なぞ使用していない。 それにさっき確認したときも明かりは点いていなかったはずだ。
しかし、今は確かに明かりが点いている。


俺は会議室へと歩いて行った。そして…そっと第二会議室を覗き込んだ。
すると、そこには………一人の男がいたのだ!
 





はい、どーみても堀池さん(夜行性の社員)です。
ありがとうございました。
 

(土曜日の23時半に出社って、どーゆーことだよ! ってか、出社したなら一声掛けてくれっつーの!)