秋の散歩道


 

見慣れたはずの風景が
 

見慣れないものに変わっている
 

そこにあるはずの景色が
 

そこに存在しなくなっている
 
 

木のベンチに座っても
 

タバコに火をつけても
 

桜の木々の下を歩いても
 

今にも声が聞こえてくる気がする
 
 

カサリ…と音がした
 

一瞬の後、足元に一枚の葉が落ちた
 

枯葉を拾い上げたときに
 

目の前をアキアカネが横切った
 
 

少しだけ泣いた